三田市立図書館への指定管理者制度導入を阻止する(・_・)/ホームページへ戻る

「三田市の図書館を考える学習会」に参加してきました (・o・)



★2013年7月14日の「三田市の図書館を考える学習会」に参加してきました。当日のメモをもとに、速報版をまとめました。一部記録もれがありますし、誤りがあるかもしれませんが、ご容赦ください。この記録は主催者の方の正式な記録ではありませんのでご注意ください


三田市の図書館を考える学習会・記録(速報版)

2013.7.14(キッピーモール6F多目的室)

開会

(司会)指定管理者制度導入について、6/27に知ったばかり。指定管理者制度がどういうことなのかを学習していく。会のスタンス・目的は3点ある
1. 十分な議論・説明が不足している中で、市立図書館に導入するのは待ってほしい
2. 市民が指定管理者制度のメリットやデメリットについて考え、さらに三田市に導入した場合についても議論していく
3. 公立図書館の本質的な役割を考え、三田市立図書館の現状・課題・将来像について議論する


講演「図書館は市民のために − 公共図書館と指定管理者制度」

講師: 清水純子(元兵庫県立図書館司書、図書館問題研究会・兵庫支部事務局)

公共図書館は広く公開されている。「広く公開」というと分かりにくいが、逆に広く公開されていない図書館というのは、学校図書館・大学図書館(学生が対象)や企業の図書館など限定公開の図書館がある。公共図書館はそれと異なり、広く市民に公開されている

当日配布の資料を参照
日本国憲法・教育基本法・社会教育法・図書館法などの法律に基づいている

指定管理者制度とは、簡単に言えば民間委託の制度。「官から民へ」といえば聞こえがいいが、「地方公共団体の仕事を民間私企業へ」ということ。今までの民間委託(業務委託)は1980年代からあり、財団などに自治体が最低半分は資金を出さなければならなかったこともあり、自治体の権限が強かった。NPOが運営することもあり、NPOというとボランティアのようなものと思われるが、実際は自治体の肝いりで作ったところもあるらしい

2003年の地方自治法の改正で作られた指定管理者制度の場合は、企業への丸投げができる制度

民間のノウハウを活用し、経費節減とサービス向上ができる、という名目だが、図書館は仕事量が増えればそれだけ経費がかかる仕事。図書館法第17条でも「いかなる対価をも徴収してはならない」とあり、参入する業者があるのかなと思っていたが、実際に参入している業者がある。資料費については削減されないようにしばりをかけているので、人件費を削減している

*人材派遣会社
 図書館業務のことをよく知らないまま参入した感じ

*図書館業務が専門の業者
 正社員は全国どこにでも行かされ、契約社員はほとんど給料が上がらないまま働かされている

指定管理者制度になって、開館日が増えたということはどこの図書館でも言われる。しかし、継続的な仕事ができなくなっていく。例えば郷土資料などの三田市にしかない資料が積み残されてしまいます。委託仕様書にあって「郷土資料を集める」とされていても、実際に収集してそれを整理して使える状態にすることは難しい。郷土資料についてその期間は途切れてしまうことになるし、それを後から収集することも難しい

司書は司書資格だけ取ってできる仕事ではない。10年20年たって、育っていくもの。そのような司書を育てる研修も難しくなる

図書館業務が専門の業者は東京の業者だが、その業者の納税は東京で行うことになるのではないか。その業者の委託料は少し高いが、他より質が高いので受託することが多く、全国の図書館に広がっていっている。また、その業者はMARC(本のデータ)を作っていて、そちらの仕事のほうが儲かっているが、委託で図書館を引き受けて、そこの図書館に自社のMARCを売ることをしている。MARCを作っている人は図書館の現場にいる人ではないので、本に付ける分類がおかしいこともよくある

その業者のホームページでは館長以下のスタッフを自社で育成していますと書いているが、これは嘘。直営の図書館が指定管理になった場合、正規職員は他の部署に異動になるが、そこで働いていた非正規職員はその業者に移って働いている。館長も有資格者を配置しているとPRしているが、もともと図書館で働いていた人が定年後などに採用されて配置されているだけで、どちらもその会社が育てたわけではなく、直営の図書館が育てたもの。それに指定管理の図書館で働いている職員はみな表情が暗いし、疲れ果てている感じ

経費節減とよく言われるが、国もそういったやり方についてはストップをかけている

図書館には地方自治法より図書館法が優先すると考え、指定管理者制度の導入については違法という説もある。『図書館と法』という本に出ているので参考に

マスコミは武雄市図書館をもてはやしているが、実際には図書館の大きなスペースを本屋やカフェに引き渡してしまっている。今まで図書館に入っていた雑誌を入れずに書店での購入に誘導したり、飲み物を買わなければ利用できない席を設置したり、問題が多い。またカフェを入れるために多額の改修費がかかっている。直営でもカフェを入れている図書館はある。郷土資料コーナーもなくしている

人件費のことで言うと、委託しても本当に経費節減はできていない

民間のノウハウを生かすといわれるが、これまで民間には図書館がなかったのでノウハウもない。三田の図書館の運営は東京の会社ではできない。効率的な運営は直営でもできる。指定管理になって窓口の職員の愛想が良くなったということも聞かれるが、それこそ直営の時でも愛想よくできること

あまり報道はされないが、指定管理者制度の導入を阻止したケースもある。インターネットで調べて参考にしてください

(まとめ)
図書館司書は専門職である。図書館を使ったことがない人のイメージでは「図書館はきれいでいい仕事」と言われることがあると思うが、実際にはほこりにまみれていたりする。今まで、私も含め図書館の職員が市民の方に自分たちの仕事を理解してもらう努力が不足していたのかもしれない。図書館協議会がなかったり、あってもアリバイ作りのようにされていることもある。図書館は利用者のためにあるのであり、図書館司書のためにあるわけではない。図書館司書は利用者のために働く。その利用者は、今の利用者であり、将来の利用者である。児童サービスや障がい者サービス、それに協力するボランティアなどのために、安定した図書館の運営が必要で、ぜひ直営でがんばってほしい

司会者まとめ

公立図書館は市民のための図書館である。郷土の文化を伝えていくうえでも、継続性が大事。一企業が三田の図書館をうまく運営することができるのか。児童サービスや障がい者サービスがこれまでのようにできるのか。国も指定管理者制度の安易な導入にはブレーキをかけている。経費の削減ということにも疑問がある

Q&A

Q1: 三田の図書館を利用している。大切な本は自分で買うことにしている。図書館の図書の選定について、なんでこんな本を選定しているのか、と思うことがある。歴史の分野などで信用ある出版社の本が少なく感じる。また、交通事故にあう方もいると思うが、日本弁護士会で作っていて通常の書店に置いていない本を取り寄せてもらったこともある。戦後の現代史を学べる資料も貧弱である。図書の選定は誰がどのようにしているのか? また、現在の職員は半数ぐらいパート職員だと思うが、それでも経費の節減ができるのか。今でも蔵書の偏りを感じるが、業者に任せることになったらどうなってしまうのか

A1: 指定管理者制度を導入した図書館では、自治体に選書を残す場合と、企業が選書も行う場合と両方がある。選書というのは窓口に立っていないとできないので、自治体に選書が残されたとしてもうまく購入することはできない。また、自治体に図書館の経験がある職員がいなくなってしまうと、業者の仕事を評価することもできなくなり、評価書の作成が業者任せになることもあるらしい。業者が選書をする場合も、選書の偏りはありうる

Q2: 最近司書資格を取ったばかりで、図書館で働きたいと考えています。今日の講演で日本の状況については良く分かったが、海外の状況はどうなのか。日本と海外の図書館への意識の違いについても教えてほしい

A2: 海外の状況については良く知らないが、アメリカの図書館の事例を聞いたことがある。お金が無くなったために、2年間図書館を閉めていたことがあるらしい。大阪のどこかの図書館でも休館日を週1日から2日に増やしたことがあるらしい。今どうなっているかは分からないが。図書館がほとんどない国もあるし、国による違いは大きい。日常の生活圏に図書館があって、子供でも行けるところもある

Q3: Q1の方の「選書をどのようにしているのか」という質問に対する回答を聞きたい

A3: 図書館に直接聞いていただくのが良い。ホームページに要覧、業務報告などに出ていることもある。県立図書館で働いていた時に各市の選書の姿勢について感じることがあったが、三田市については利用者のリクエストにできる限り応えて、断ることがないようにして、自分の館で買えないような資料も、県立図書館にリクエストをしていた
(参加者)図書の選定について以前に聞いた。係長を含め、4人ぐらいで行っているとのことでした。今現在がどうなのかは分かりませんが

Q4: 視覚障がい者です。この会が市民の会として発足しているが、図書館の職員の方はどのような思いを持っているのかが知りたい。この会とのかかわりについても教えてほしい。今後の見通しはどうなるのか
A4: (司会者)今後のことについて、この後に考える時間を設けている。職員や市議会議員との接触もまだしていない。また、「〜の会」ができているわけでもなく、今日はまだ勉強会の段階。この活動を今後継続していかなければならないと考えている。視覚障がい者のサービスがどうなるのかということも学習していきたい

Q5: スケジュールがどのように進んでいくのか
A5: (参加者)市議会の傍聴に行った者です。この会の企画をしました。市長は市民サービスの向上と言い、副市長が来年の4月に導入したいということを言っていた。社会教育委員の会では本館は直営と言っていたのに、非常に驚いている

参加者意見:利用する市民の意識も変えていかないといけない。以前延滞の本が一つ一つ督促できないくらいに多いと聞いた。その部分でも市に(指定管理を)考えさせる材料を与えてしまっている。借りる側もエチケットを守って、意識改革をしなければいけない。また、図書のリサイクルの時に小・中学校の先生が児童書をほとんど持って行ってしまっているが、小・中学校の図書のお金が少ないこともある

Q6: 知人が指定管理を導入した図書館ではサービスが良くなって、開館時間がのびて良いと言っていた。私は天邪鬼なので、ええことには何か裏があるのだろうな、と思うが、どうなのか。視覚障がい者なので、ボランティアにもお世話になっているが、ボランティアの待遇などが変わったりするのか

A6: 兵庫県内での導入例はいくつかあるが、ボランティアのことで変更があったということは聞かない。どちらかといえば「勝手にやっといて」という感じになるのではないか。ボランティアと図書館の距離を少し感じるようになったという声は聞いたことがある。お金儲けをしている企業のもとでボランティアをすることは気の毒に思う

参加者意見:視覚障がい者です。今の図書館のシステムを活用している。それが指定管理者になると、サービスの低下やシステムの変更につながるので心配している

参加者意見:私はパブリックコメントを出しました。「三田市の図書館はその運営を他の図書館の見本にできるぐらいに良い図書館なのになぜ指定管理者制度を導入しようとするのか。安易な導入を行わないでください。図書館利用者の声に耳を傾けてください」という意見を出したところ、広報課から2週間待つように言われた。返事が来たが、「図書館の実績をご評価くださりありがとうございます。社会教育委員の会での答申を検討した結果、指定管理者制度の導入を決定しました。趣旨をご理解いただき今後も図書館をよろしくお願いします」というような回答が来た。市としては指定管理導入をもう決定しているようなので、私たちも対応を急がなければ時間がないと感じている

★とても活発な質疑応答があり、時間が足りなくなるほどでした。当日参加できなかった方も、この記録を参考に図書館への指定管理者制度導入の是非について考えるきっかけにしていただけたらと思います


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