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そもそも指定管理者制度は何が問題なの? (・・?



指定管理者制度とは、図書館の運営を指定管理者(民間業者・NPOなど)に丸投げするしくみで、図書館を民間委託するための制度です。大きな問題点が3点ありますので、順々に確認していきましょう。

1. 図書館の継続性・安定性が失われること

指定管理者制度を導入すると、基本的に3〜5年で業者が入れ替わることになります。 司書の職員が持つ経験が5年で失われてしまい、新しい業者はまた一から図書館運営を始めなければなりません。 これは大きなデメリットです。図書館では新しい本から絶版になった古い本まで、郷土の資料や調べものなど、扱う資料は多岐にわたるため、司書が継続して業務に携われる体制が必要です。

2. 委託業者は、支出を減らすことでしか、利益を増やすことができない

指定管理者制度での委託業者の収入と支出を見ていきましょう。

 収入 = 市が支払う委託費
 支出 = 人件費、施設維持費、管理運営費

博物館や美術館で民間業者を指定管理者にすることで、運営がうまくいっているところもあるのかもしれません。業者の利益は収入−支出ですので、収入を増やし支出を減らすことで利益を多くすることができます。博物館や美術館の場合、入館料やグッズ販売ができるため、民間業者の創意工夫が生きる余地があります。これに対し、図書館の場合は図書館法で無料の原則が定められています。

 図書館法
 (入館料等)
 第十七条  公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。


このため、図書館には収入の手段がありません。また、指定管理者制度での契約は出来高制ではありませんので、いくら図書館をうまく運営しようと市からボーナスが出るわけではありません。そこで委託業者が利益を上げる方法は以下の通りです。
● 人件費を減らす(例えば、来館者を増やさないように工夫することで、カウンターの人員を減らす)

これが図書館の指定管理者制度の負のスパイラルです。もし図書館運営に誠実な業者がいたとしても、5年後の入札の際にはより安い費用を提示した業者が指定管理者となってしまいます。これでは図書館サービスの向上など望むべくもありません。「民間でできることは民間で」というフレーズは良く聞かれますが、民間の公共図書館というものはありません。民間業者に運営を委託している公共図書館はありますが、収入は自治体が支払う委託費です。図書館は「民間でできること」ではありません。それを端的に示しているのが以下の記事です。

指定管理者となった企業さえ、今の制度には疑問を持つ。図書館流通センター(東京都文京区)の石井昭会長は「図書館法に無料貸し出しの原則があるため創意工夫の範囲は限られ、入館者が増えれば赤字になる。全くうまみのない事業」という。(毎日新聞 2006年6月7日)

また、民間業者が本やCD, DVDの販売を同時に行っている図書館がありますが、それこそ図書館の本来の業務とかけ離れたものにほかなりません。

3. 図書館の本来業務が最優先されない

図書館の本来の業務とはなんでしょうか? それは「図書館の自由に関する宣言」にうたわれています。

 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。

民間業者(株式会社)のもっとも重要な業務は、利潤の追求です。そこに、知る権利の保障は含まれていません。


参考リンク

図書館法
図書館の自由に関する宣言(日本図書館協会)


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