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三田市「図書館建設作文コンクール」最優秀作を読みましたA ('_')



★1988年7月三田市の図書館建設に先立ち、市の図書館建設担当が「図書館建設作文コンクール」を実施していました。1988年10月19日「六甲タイムス」に小中学生の部最優秀作「本と人との出会いの場の図書館を」が掲載されています

この作文で書かれていた図書館への希望のうちの多くのことが三田市立図書館で実現しています

・「本の数量は多いに越したことはない」 … 平成23年度図書館年報によると、372,797冊の蔵書があります
・「日の当たるところで緑を眺めながら休めるようなスペース」 … 中庭の緑を眺めながら本を読むことができます
・「読みたいと思う本を家に持って帰って」 … 自由に貸出することができます
・「ビデオライブラリー」 … ビデオの視聴コーナーがあります
・「コピーをできるようにする」 … コピーコーナーがあります

この作文コンクールは10才の小学生から71才の方まで、182名の応募があったようです。「市ではこれら市民の意見要望などを検討して、新しい図書館づくりに役立たせる意向」と報じられています。三田市立図書館は市民の意見を反映してできた図書館であり、四半世紀近くの歳月をかけて発展し、今では同規模の自治体で年間貸出冊数が全国2位であるという実績があります。そのような図書館の運営を簡単に変えてしまって良いのでしょうか?

図書館では多くの人が本との出会いによって知識を得るだけでなく、心に新たな力を得ることができて、それを生きるための糧にすることができますし、そこで得た力は三田市にとっても大きな助けになるものに違いありません。作文では「多少建設費がかかっても、市民に与える利益のほうが大きい」と書かれています

また指定管理者制度を導入することでコストの削減ができるという意見もありますが、「図書館お姉さんは「使い捨て」非正規公務員70万人「ワーキングプア」の現場」(サンデー毎日 2013.6.30号)という記事では、図書館の非正規職員が非常に低賃金での労働を強いられていることが紹介されています。そんな状態のところに指定管理者制度を導入してもコスト削減にはつながらないのではないでしょうか

3〜5年で指定管理の委託業者が変わっていくことで、6年以上の経験のある司書がいなくなるというデメリットがあり、また劣悪な労働条件のもとでは長く働き続けることができず、指定管理者制度は経験のある司書を育てられるようなシステムではありません

図書館学では「図書館の三要素」ということが言われます。「図書館の資料」とそれを収める「図書館の建物」、そしてそれを利用する「図書館利用者」です。それらを結びつけるのが司書の役割とされています。そのいずれが欠けても図書館は成り立ちません。司書の役割を軽視して図書館へ指定管理者制度を導入することは市民に与える不利益のほうが大きいと思います




全文引用

図書館建設作文コンクール特選 小中学生の部

「本と人との出会いの場の図書館を」(中薗さん)

 いま、三田市内で一般市民が図書を利用できるところは一カ所しかない。それも中央公民館の一部のスペースでしかなくて図書館というイメージではない。僕も何回かそこには行ったことがあるが、本の不足とその他機能についても不満を抱いていた。
 これから僕は、利用者であるより施工者のような気分で新設される図書館について書いてみたいと思う。
 まず、本の数量は多いことに越したことはない。したがって、各種いろんな分野のものを数多く所蔵してほしい。
 そして次に考えなければならないのは、その本をどのように置いておくかということであると思う。いまの図書室は狭いせいもあって本が一杯に詰め込まれているという感じである。だから希望の本を選ぶのに時間がかかったり、これから読もうというときに置いていた場所などを忘れてしまったりしてしまうのだろう。
 僕は、たくさんの本を有効にみんなで共用するためには間取りを大きく、広く取り、ゆったりと取って本を収納してほしいと思う。本がきゅう屈に置いてあると、自分達が図書館に閉じ込められているような気がする。そして、せっかくそろえた本は使いやすいように配列してほしい。
 また、いまの図書室との比較になってしまうが、本を読んだり、少し休めるスペースを確保してほしい。公民館の暗いロビーで休んでいると、目だけでなく体まで疲れてくる。だから、屋上か、もしくはベランダでもつくって日の当たる所で緑を眺めながら休めるようなスペースをつくってほしい。そうすればきっと頭もすっきりさせて本を読むことができるはずである。
 次に、読みたいと思う本を家に持って帰って読みたいと思うことがある。そういうときに誰でもいつでも自由に本を借りられるようにしてほしい。そうするにしてもカードをきちんとつくって返す日をしっかりと確認するようにしなければならないだろう。
 これは本とは直接関係ないが、月に一回、もしくは二カ月に一回ぐらいの割合で、なんらかのテーマを決めて展示会のようなものを開いてほしい。たとえば市民一人ひとりがこの三田に誇りを持ち、自覚できるようになるためには郷土の歴史、そしてこの町にまつわるエピソードなどを展示してはどうだろうか。当然その展示会においても、僕達の意見が幅広く反映されたものであってほしい。
 そうした生の意見を聞くために投書箱のようなものを設置すればよいだろう。これは展示会だけでなく、図書館全体のいろんな意見を聞くことができる。それらが取り入れられると本当に心から親しめる図書館になるだろう。
 これからの図書館は本を読んだり、借りたりするだけに来るのではなしに、ちょっと散歩のついでにでも入りたくなるような図書館であってほしい。そこでちょっとした「ビデオライブラリー」などをつくってはどうだろうか。
 映像で世界のいろんな場面をみたり、日本各地の名所や秘境を見たり、いろんな時代の歴史を見たい。本を読んで考える知識も素晴らしいが、映像から見るというのも、臨場感があっていろんなことを知り、考えることもできるだろう。
 また、利用者の希望によってコピーをできるようにするのもいいと思うし、市で発行した本で書店で手に入らないものなど販売できるような仕組みを整えておいてほしい。図書館はいつでも、どんなときでも、本と人が新しい出会いをして、そして出会いを果たした本の内容などを新しい心のソースにして自分自身を、本と自分の力によって開拓できるような場所でなくてはならない。
 そうすることができれば、いろんな意味でこの図書館を中心に新しい思想を発する人間が出てくるかもしれない。
 誰が見ても立派ですばらしい図書館が建設され、たくさんの人があたらしいソースを本によって心に与えられれば、多少、建設費がかかっても、市民に与える利益のほうが大きいと考える。


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