三田市立図書館への指定管理者制度導入を阻止する(・_・)/ホームページへ戻る

どうして指定管理者制度を導入している図書館があるの? (・・?



★今までの記事で、指定管理者制度が図書館にはなじまない制度であることを確認してきました。しかし、日本図書館協会の「指定管理者制度導入2012調査(報告)」によると、2011年までに指定管理者制度を導入している市区町村立図書館がある自治体数は144、図書館数では296館となっています。図書館を設置している1,300自治体(市区町村)のうちの11%、図書館数3,154館のうちの9.4%にすぎません。「平成21年度図書館・博物館等への指定管理者制度導入に関する調査研究報告書:文部科学省」を参照し、なぜ指定管理者制度を導入したのかを調べてみました


導入判断事例(北九州市立図書館)

・ 北九州市では、 市内の図書館サービスの均一化を図ること、また、コスト削減やサービスの向上を図ることを目指して、中央館は直営、分館は指定管理者制度という分類で市営図書館の管理を行っている。
・ これは、全ての施設に指定管理者制度を導入し、全てが異なる主体が管理するという形態になった場合に、区ごとに図書館サービスに違いが生じてしまうことを懸念したものである。
分館では指定管理者の募集・選定の結果、異なる事業者が選定されている。
<参考情報>
○中央図書館:直営
○門司図書館、八幡図書館:図書館流通センター(指定管理者)
○戸畑図書館、若松図書館:日本施設協会(指定管理者)

導入判断事例(多治見市図書館)

・ 地方自治法が改正される前の管理委託制度の時代には、市の財団法人が図書館の管理を受託しており、指定管理者制度が導入された際に、市では指定管理者でも十分管理ができると判断し直営に戻すことは考えなかった。
・ 特に、市長の方針として、公の施設については指定管理者制度を導入し、公募にせよという方針が示されていた。
・ 市では、指定管理者制度を導入することで、サービスの向上とコスト削減が図れる事業者にお願いしたいという考えがあった。

導入判断事例(山中湖情報創造館)

・ 村としては、厳しい財政状況で、司書の採用が難しいという状況があった。また、新卒で採用して育てていくことも難しい状況であった。
村では、図書館運営に関する知識を持ち合わせておらず、指定管理者に関する勉強会を開催し、検討してきた結果、指定管理者制度を導入し、指定管理者で司書を探し、雇用するのが現実的であると判断した。

★いずれも「コスト削減」や「財政状況」が導入理由の一つにあげられています。また、多治見市の場合は、指定管理者制度の導入前から財団委託されていますし、山中湖村には図書館運営のノウハウがありませんでした。三田市のように直営で司書が運営している図書館とは全く異なる状況で、指定管理者制度を導入しています

業務の引継ぎ事例(北九州市立図書館)

・ 直営から指定管理に変更した図書館では従前の嘱託の者のうち、再雇用を希望する者は市が新しい指定管理者に紹介し、6〜7割は採用されている。
・ また、引継ぎには2 ヶ月程度時間を取っている。

管理の基準の設定事例(北九州市立図書館)

・ 市の図書館サービスの均一化のためには、管理の基準で必要な事項は明確に示すこととした。
・ 一方で、指定管理者に新たなサービスの提案を求める形とし、結果的にビジネス支援や医療支援などのレファレンス、学校や老人保健施設などへの読み聞かせ出張、セミナー・講演会などのサービスが実施されるようになった。

★6割以上の人が引き続いて働いていて、「新たなサービス」も導入しているのに、コスト削減を実現しているのだとすれば、いったいどういうマジックがあったのでしょうか。人件費を削減して、司書の方に負担を押し付けているのではないでしょうか

★「新たなサービス」として、ビジネス支援や医療支援などのレファレンス、学校や老人保健施設などへの読み聞かせ出張、セミナー・講演会などのサービスがあげられていました。これらのサービスを直営でやっている図書館もあります。また、報告書によると、「図書の選書」については中央館(直営)が行っています


☆三田市立図書館に指定管理者制度を導入する理由として、市は三田市議会で「民間活力の導入」・「開館日数の増加」・「開館時間の延長」と言っています。これらは指定管理者制度を導入する理由になるのでしょうか

  1. 「民間活力の導入」
     以前の「三田市立図書館を、他の同規模自治体の図書館と比較してみました φ(..)」の記事にも載せていますが、三田市立図書館の利用は非常に活発で、指定管理者制度を導入している多治見市図書館や、武雄市図書館の年間貸出冊数を大きく引き離しています

    民間活力の導入された武雄市図書館は、企業の都合で図書館の運営がゆがめられているところがあります

    (武雄市図書館ホームページより引用)
    貸出資料と利用可能点数・日数
    図書資料 10冊まで15日以内
    雑誌・AV資料 2冊まで8日以内
    ・(2013年)7/1(月)よりコミック貸出を開始します! 今までコミックは館内での閲覧のみとさせていただいておりましたが、皆様の声にお応えして、7/1(月)より、お貸出しを可能にいたしました。
    ※現在貸出可能なコミックは、コミックのコーナーに置かれている作品のみでございます。料理、旅行コーナーにあるコミックなど、館内シールが付いているものは館内閲覧のみですのでご了承ください。
    ★雑誌・AV資料はレンタル店のように貸出期間が短いです。雑誌は所蔵数が107から27タイトルに8割減という情報もあります。雑誌・AV資料は販売やレンタルの売り上げに影響するために制限されていると思われます

    ★貸出ができない本があるというのはどういうことでしょうか? 持ち帰って読みたい人は、書店で購入するようにということでしょうか。いくら図書館の開館日数を増やしても、そこで読んで帰れる人ばかりではないと思います。三田市立図書館は、本も雑誌もコミックもCDも、3週間借りることができます


  2. 「開館日数の増加」・「開館時間の延長」

    三田市立図書館(本館)

    休館日: 毎週火曜日(祝日は開館し、次の平日を休館します)、毎週月曜日の午後1時以降(祝日をのぞく)
    開館時間: 10:00〜18:00、月曜日は10:00〜13:00(祝日の場合は10:00〜18:00)、(調査相談室、特別展示室、閲覧室は、閉館の1時間前に閉まります)

    ウッディタウン分館

    休館日: 毎週月曜日(祝日は開館します)、毎週火曜日(祝日は開館し、次の平日を休館します)
    開館時間: 10:00〜18:00

    藍分室

    休館日: 毎週月・火曜日(火曜日が祝日と重なる場合は、その翌日も)、国民の休日
    開館時間: 水〜金曜日 13:30〜17:00、土曜日・日曜日 10:30〜17:00

    共通の休館日: 館内整理日(1,4,5月をのぞく毎月第一木曜日)、年末年始(12月28日から翌年1月4日まで)、特別整理期間(4月〜5月のうち14日以内)

    ★分館・分室は月・火曜日が休館、本館は火曜日と月曜日の半日が休館です。同規模自治体の貸出冊数No1の生駒市図書館(直営)では、月曜日と毎月第1金曜日が基本的な休館日になっていました。三田市議会第3日目の長谷川議員の質問では、開館時間の延長や開館日の拡大の提案が三田市立図書館の職員からもあった、というようなことが述べられています。それならば、指定管理者制度を導入する意味はないのではないでしょうか

    ★それぞれの施設を何時まで開けるべきなのかは十分に検討する必要があります。JR三田駅や新三田駅に近い図書館であれば、夜間でも多くの利用が見込めるのでしょうが、三田市立図書館の立地は夜間に利用するのにそれほど便利な場所のようには思えません。また昼間でも「不審者情報」がたくさんメールに届きます。図書館は子供も利用します。冬は日がすぐに落ちます。夜中に安心して利用できるのでしょうか


2013.6.17 [三田市議会インターネット録画中継]三田市議会第3日目一般質問(長谷川 美樹)

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参考リンク

指定管理者制度導入2012調査(報告)(日本図書館協会)

日本の図書館統計2012(日本図書館協会)

『平成21年度文部科学省委託 図書館・博物館における地域の知の拠点推進事業 図書館・博物館等への指定管理者制度導入に関する調査研究報告書(平成22年3月)』

2013.6.17 [三田市議会インターネット録画中継]三田市議会第3日目一般質問(長谷川 美樹)

武雄市図書館


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