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「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」(2013年)が分かりやすい (・∀・)イイ!!



★2013年7月7日図書館友の会全国連絡会より、「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」が表明されました。三田市立図書館のあり方を考える上でも非常に参考になる声明ですので、以下に引用させていただきます
私たちは、公立図書館が「地域の知の拠点」として発展することを願い、全国各地で活動する市民団体・個人の連絡組織です。この度、別紙の通り「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」を公表しました。私たちは、声明書で指摘した6つの問題・課題について、直接の関係者ばかりでなく、全国の自治体の図書館行政に携わる方、議員、マスコミ関係者、そして何よりも公立図書館の主人である住民一人ひとりに広く伝わるよう、心から願っています(図書館友の会全国連絡会”「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」の送付について”より抜粋)


武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書

図書館友の会全国連絡会

 私たちは、公共図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。佐賀県武雄市図書館は、本年4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ社(以下「CCC」という。蔦屋書店、CD/DVDレンタルショップのTSUTAYAの運営会社で、スターバックスのライセンス提供を受けている)を指定管理者とする図書館としてリニューアルオープンしました。このことは全国的に注目を集め、民間ノウハウ活用のモデルの一つとして紹介され、武雄市を参考にする自治体があると報道されています。
 私たちは昨年5月、樋渡武雄市長が、東京の代官山蔦屋書店で記者発表して以降、この動きに関心を持ち、武雄市民や図書館利用者から情報を集めてきました。そして、この武雄市の事例が、公立図書館の振興・発展ばかりでなく地方自治にとっても、大きな問題・課題があると考えるに至りました。私たちの考えを、以下6点にまとめて表明します。

1.自治体の首長が、特定の民間会社を指定管理者に選定し、十分な情報公開をしない地方自治のあり方は問題

 武雄市長が特命で民間会社を指定管理者に選定した時、武雄市民ばかりでなく、市議会や教育委員会、現場職員も寝耳に水の記者発表だったと聞きました。その後、追認する形で条例上の手続きはとられていることは認めますが、スピード感を重視するという理由で、行政が遵守すべき手続きを市長が軽んじてよいということではありません。
 武雄市長の独断で1社を指名したことは、受注価格、公平性、透明性に問題があり、地方自治に求められる公共調達の適正化方針に反します。また市立図書館の改造に当たり、CCC社の営業部分も公共投資で実施したことは、問題があると考えます。
 市長の先導によって短期間のうちに作業が進められていく政治手法は、結果的に特定の民間会社を優遇し、他者を参加させないことにつながります。これは、公平公正を旨とする行政の立場を逸脱しているばかりか、市議会や武雄市役所の各機関の存在意義が問われます。
 武雄市の図書館ビジョンを明示せずに、市民に情報を十分に公開しないまま拙速に手続きを進める手法は、本来の地方自治のあり方とは言えません。

2.「民主主義の砦」としての公立図書館の役割と公共性への配慮が欠如している問題

改めて言うまでも無く、民主主義社会を支えるのは、自ら考え、判断し、行動する市民の存在です。それら一人ひとりの市民が成長していく上に必要不可欠なものとして図書館があります。図書館は求められた資料や情報を提供するなどの働きを通じて、国民の知る権利を守り、さまざまな意見や考えに触れ、主体的な人間に成長することを援助することができます。公立図書館をつくり、無料で図書館サービスをすることが自治体の役割であることは、民主主義を標榜する世界の多くの国々が共有する理念です。
 公立図書館が担うべき公共性は、すべての住民、特に社会的に弱い立場の住民の基本的人権や知る権利を守ることにあると考えます。公立図書館は、高齢者や子どもたち、障がい者、低所得層などの社会的弱者を、サービスの重要な対象とすべきです。

3.利用者の増加が図書館サービスに結びついていない問題

 今回武雄市は、図書館を改修し、図書館入口の主要な部分を蔦谷書店とスターバックスに置き換え商業施設としました。また併設している歴史資料館の一部である蘭学館を図書館に組織変更し、CD/DVDレンタルショップTSUTAYAに場所を与えました。書店とCD/DVDレンタルショップ、コーヒー店を配置することにより入館者を増やしました。武雄市では、図書館の来館者を大幅に増やすことが地域の活性化につながり、成功だと評価しています。
 しかし私たちは、公立図書館に求められる本来の公共サービスは弱体化したと考えます。民間会社であるCCCは、本・雑誌の販売やCD/DVDレンタル、コーヒー店の売り上げから、収益を上げることができます。図書館の貸出が増えても収益は上がらないし、むしろ、競合して収益を減らします。事実、新しい武雄市図書館では、貸出も可能な雑誌資料の所蔵タイトル数を大幅に減らし、図書館内に設置した書店での販売を促進しています。商業色が前面に出てきたため、経済的に恵まれていない高齢者や子どもを持つ親たちが利用を躊躇する状況が生まれてきています。

4.T−ポイントカードと図書館カードとの併用はCCCの営業支援となる問題

 武雄市図書館の指定管理者であるCCCにとって、T−ポイントカードは重要な営業促進手段の一つです。図書館カードにこのT−ポイントカードを併用することについては、情報セキュリティ関係者や日本図書館協会、日本文藝家協会等から数々の懸念が表明されました。そのため、図書館利用者が従来の図書館カードを選択することも認めるようにはなりました。しかし、現場ではT−ポイントカードへの勧誘が続いています。  図書館利用に特定のポイントカード使用を認めることは、CCCと提携しT−ポイントカードを導入している事業者への便宜供与となり、営業支援行為であり、公平公正であるべき行政として大きな問題です。また、「利用者の貸出履歴など、個人情報が洩れたり、商業利用されたりすることはない」と説明していますが、一民間会社であるCCCが図書館利用に係る情報を集積することになります。リニューアルオープン後、子どもたちが嬉々として自動貸出機でT−ポイントカードを使っている姿や、図書館利用者の座席でも誤ってCCC社員が、商品購入を要求することなどは、当初から懸念されていたことです。

5.図書館サービスの専門機能の継続性が担保されない問題

 図書館や歴史資料館など社会教育施設へ指定管理者制度を導入する最大の問題点は、業務の継続性が担保されないことだと考えます。指定管理者制度の目的が、民間活力の導入による住民サービスの向上であれば、競争の論理により数年で指定管理者が変わる可能性は大です。CCCは利益が出なければ撤退します。当然、図書館の司書や専門的職員も変わります。公立図書館は、日々の業務に加えて、町の記憶遺産や文化資産を収集・整理・保存し、次世代に引き継ぐという使命も併せ持っています。それを担う司書の専門性や、地域住民との協同作業は数年で培われるものではありません。  費用対効果を考慮しても司書の継続的な確保は図書館にとって最重要課題です。だからこそ、市民は図書館への税金の投入を認め、その責任を行政に果たすよう求めています。武雄市教育委員会は、図書館サービスをCCCに丸投げするのではなく、主体的に教育機関として図書館の管理・運営を継続して行うべきだと考えます。本を借りてポイントをためたり、コーヒーを飲みながら本が読めたり、図書館で本や雑誌が購入できることが、その使命に勝るとは思えません。

6.CCCの採用は、地域振興に結びつかない問題

 CCCという東京の民間会社に図書館運営を委託するということは、人材とノウハウの根幹部分が地元に根付かず、東京に流出するということを意味します。地域振興のため東京から企業を誘致してくるというモデルは、これまでにも地域経済の中央依存や衰退など破たんを見ているはずですが、今回はそれを繰り返すことになります。
 イタリアで始まったスローフード運動は、アメリカのファストフードチェーン店を拒否して、地産地消、即ち地域自立をめざすものですが、これは教育文化行政にも当てはまるものだと思います。東京に目を向けるのではなく、郷土の歴史・文化を大切にする地域振興策を追求すべきと考えます。
 武雄市は、今年、九州国立博物館で開催された「江戸のモダニズム〜古武雄」・「江戸のサイエンス〜武雄蘭学の軌跡」(今日7月7日終了)の二つの企画展からも、地域資源の豊かさが証明されています。

以上

平成25年7月7日


★三田市が現在図書館に指定管理者制度を導入しようとしているやり方も、「市民に情報を十分に公開しないまま拙速に手続きを進める手法」です


参考リンク

図書館友の会全国連絡会


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