三田市立図書館への指定管理者制度導入を阻止する(・_・)/ホームページへ戻る

「私たちの図書館を育てる」 講演会に参加してきました (・o・) "講演会記録(速報版)"



★2013年11月23日の「私たちの図書館を育てる」 講演会に参加してきました。当日のメモをもとに、速報版をまとめました。一部記録もれがありますし、誤りがあるかもしれませんが、ご容赦ください。この記録は主催者の方の正式な記録ではありませんのでご注意ください。また、講演記録の間のURLは参考のために挿入したものです


「私たちの図書館を育てる」 講演会・記録(速報版)

2013.11.23(郷の音ホール 2階 展示室)14:00-16:00
主催:(三田)市立図書館を守る会
天気:晴れ
参加者:約50人

開会

(司会:市立図書館を守る会世話役)
佐賀県の伊万里市で図書館フレンズの役員をされている、盛泰子さんを講師にお招きしています。この講演会を、私たちの図書館を守り育てるヒントにし、改めて考える機会にしたい。配布資料の確認をさせていただきます。A3横が1枚がレジュメと、A4縦の三田市立図書館の経緯の表と、カラーのチラシは今回の図書館の問題に関して、市内で配布したものです。アンケート用紙が1枚で、ご感想やご意見など自由に、ぜひご記入ください。今後の取り組みの参考にさせていただきます。

講演会に入る前に、図書館をめぐる経緯について、説明をします。私たちの主張は、お配りした資料の一番上にも出ていますが、いったいなぜ、こんなに導入を急ぐのでしょうか、ということです。性急な形で、これがどうなのかということです。2012年4月に市長は社会教育委員の会に指定管理者制度導入も含んで今後の方向性を諮問しました。1年間議論して出された答申では、指定管理者制度についても両論併記で、慎重に検討するようにということでした。(今年)4月には図書館運営の見直しということが出されて、6月の市議会で市長が全館の導入方針を表明しました。9月にはまちづくり常任委員会で、図書館に指定管理を導入することができる条例改正案が審査され賛成多数となり、本会議でも賛成多数となってしまいました。11月には候補者が決定したということが新聞でも報道されました。私たちの図書館を育てていく、ということで盛さんにご講演いただきます。

講師紹介

盛さんのプロフィールをご紹介させていただきます。1993年に初当選され、伊万里市議会議員を6期務めておられます。また図書館フレンズいまりの役員として、地域の図書館を守り育てる活動をしておられます。

今日の講演につきましては、USTREAMでライブ中継をしています。また、いつでも録画が見れるようにしており、カメラがまわっていますのでご了承ください。
http://www.ustream.tv/recorded/41021489(CMの音声が出ますのでご注意ください。1:07くらいから始まります)

講演「私たちの図書館を育てる」

講師: 盛 泰子さん(伊万里市議会議員、佐賀県女性議員政策研究会代表、図書館フレンズいまり役員)

私は普通の主婦として図書館づくりの運動をしていて、その途中で議員になりました。伊万里に良い図書館があればそれでいいのではなく、全国の図書館がより良いものになっていくのが願いです。ここに来る前に三田の図書館を見てきました。実は平成6年にも来たことがあります。平成5年に議員になって、行政視察というものがあり、ちょうど伊万里が図書館を作っていた時に、三田に良い図書館があるということで視察をしています。また、私が住んでいる所は南が丘というところで、(三田の)図書館も南が丘にあります。今、伊万里では焼き物の展示をしていますが、その中の1点が三田青磁で、赤い糸がつながっていると考えています。

自己紹介させていただきます。私は東京生まれで結婚して伊万里に来ました。夫だけしか知り合いがいない状態でした。子供も生まれてここが故郷になると思いました。そのころの伊万里の図書館は、小さくて暗くて資料があまりないものでした。そこで図書館づくりの市民運動に参加して、議会の傍聴にも行きました。こんな議論でいいのかなとも思い、補欠選挙で市議会議員になりました。市民運動は、圧力団体になるのはやめよう、という方針で、日帰りで図書館の見学に行ったり、図書館学の先生や館長を招いて勉強し、行政提案していく活動をしてきました。

当時、九州の北の方には貸出中心の図書館が多く、席があまりないところが多かった。それは自分たちのほしい図書館のイメージではなかった。貸出中心ではなく、ゆっくり過ごせるような図書館が良かった。福岡県の苅田町に新しい図書館ができて、とても素敵な図書館でした。
http://library.kanda-ed.jp/

そこを見た後は、「今日のことは忘れよう。これを伊万里に望んでも無理」と思いました。それが、その図書館を設計した人が伊万里の図書館を作ることになり、私たちの役割もこれで終わった、と思っていましたが、設計者の方が「一緒にやりましょう」と言ってくれました。そこで意見を求められたりしました。その設計者の寺田芳郎(よしろう)さんという方の言葉で、「伊万里を引き受けたのは、そこに市民運動があったから」、「自分は図書館を作るプロだが、利用するプロでもある」と言っています。私たちは設計段階から参加して、立体の模型を見ました。現地を歩く会の時に、寒い日でしたので図書館づくりの会からぜんざいをふるまった。その時市長が、この日を図書館づくりの記念日にしようと言って、図書館めばえの日になりました。本当に主役扱いされていると感じました。市民が主役のまちづくりということはよく言われますが、本当に市民が主役になっているか、市民参加ができていないこともある。図書館を育てるということが重要です。

(1)写真でプチ旅行しましょう
これからスライドの写真で伊万里の図書館を見てプチ旅行をしてみます。
http://www.library.city.imari.saga.jp/

年齢を超えた垂直方向のサービスと広い市域をカバーする水平方向のサービスをしています。人口は5万8千人です。伊万里でやっているほとんどのサービスは三田でもしています。とてもいいサービスをしています。

(写真紹介)
・外観写真。隣に中学校があります。
・緑色のドアのところにブックポストがあります。ドライブスルーが可能で車に乗ったまま本を返せます。屋根もあるので雨でも濡れることなく、図書館に入ることができます。
・自動車図書館が2台あって、70のステーションをまわっています。市域が広いので、中央図書館と自動車図書館でカバーしています。本当は分館があればいいのですが、財政的に難しいです。
・少し見にくいですが平面図です。指の突起のような部分があって、フィンガープランと呼ばれています。
・入口のすぐに「図書館の自由に関する宣言」があります。これは三田にもありました。また図書館の設置条例があり、レジュメにも載せています。

伊万里市民図書館設置条例
http://www.city.imari.saga.jp/reiki/reiki_int/reiki_honbun/aq20604891.html

(設置及び目的)
第1条 伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館(以下「図書館」という。)を設置する。

・10周年のお祝いがあった時に、鳥取県知事の片山善博さんを講演にお呼びしたのですが、設置条例の「市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を提供する」という部分について素晴らしいと言っていただきました。
・成人の書架です。三田もそうですが書架は低いです。書架の間にはイスがあって、ゆっくり読めるようになっています。
・今日帰ってきた本のワゴンです。閉館まで置いておきます。回転している本の中に魅力的なものが多いので、時間が無くても見ることができる。キャスター付きのワゴンなので、本棚に戻すときもやりやすく、利用者にもスタッフにも優しいです。
・子供コーナーです。135センチメートルの書架です。ボランティアが作ったタペストリーが飾られています。絵本は平置きを多くしています。
・おはなしの部屋は写真では写っていませんが、登り窯のように階段状になっています。上に天の川と星座があります。
・和室の読書席です。掘りごたつになっている席もあり、コンセントがあるのでパソコンの持ち込みもOKです。拡大鏡もあります。いろんな世代で利用されます。
・これは三田にも同じようなものがありましたが、県別、外国などの旅行パンフの入った引き出しで、横にガイドブックもあります。今日三田の資料を色々もらいましたので、帰って早速兵庫県のところに入れようと思います。
・ヤングコーナーです。三田も力を入れていたのでうれしかったです。ティーンエイジャーにいい思いをしてほしい。そして大人になってまた帰ってきてほしい。進学の横に就活という棚があり、高校生の就活を応援しています。これは私ではありませんが市会議員の「高校生の就職活動を支援するべき」という質問に対して、市長が同意した答弁の翌日にはもうこのコーナーができていました。
・平屋ですが一部2階があります。閉架書庫です。開架はキャパシティが決まっていて、閉架書庫の本はスタッフにお願いするのが普通ですが、もし自分で上がって入っていけたら、本との出会いがあります。伊万里では公開書庫となっていて、誰でも入ることができます。
・図書館は広いので、クーラーが効きすぎたり、暖房が効きにくかったりするので、おうちの毛布を切って、持ってこられたひざ掛けです。ボランティア活動でこうだったらいいのにね、ということを実現しています。
・図書館を上から見た写真です。机が通路に対して斜めに設置されていて、後ろに人が通ってもあまり気になりません。イスのひじ掛けは片方だけで、出入りがしやすいと好評です。
・入口すぐに図書館フレンズいまりの活動拠点があります。古本を売るなど「稼ぐ」活動をして、図書館やボランティアに対して援助をしています。
・創作室です。布の絵本を作る活動をしている。ミシンやアイロンを使うため、壁にコンセントがたくさんある。これも活動をしている人とのやりとりがあったからそうなったことで、市民の声をしっかり聞いた成果です。屋外のコーナーもあります。
・会議室の横に給湯室があり、とても便利です。
・ホールはイスを片付けるとフロアになります。イスを置くと144席のホールになります。控室と、親子室があります。親子室では講演を聞くことができます。赤ちゃんが寝ているときもヘッドホンで講演を聞くことができる部屋と、親子室は2種類あります。
・図書館活動をしてきた市民の名前が刻まれたプレートが設置されています。市長の名前が載っているものはよくありますが、普通の市民の名前が載っているものはあまりないです。
・模型で設計を説明している様子です。屋根を外すと中が分かるようになっています。これを見たときに大人版のリカちゃんハウスだなと思いました。自分の家を作る感じです。
・見学会の様子です。工事中ですので真ん中に映っている和服の踊りの先生もヘルメットをかぶって見学をしました。

(2)伊万里市民図書館の運営
図書館の設置条例は伊万里のオリジナルです。指定管理者制度というのは昔からではなく、自治法の改正によって、一般の業者に任せることができるようになった。まだそんなに日が経っていなくて、10年もなっていないが、図書館にもその波が来るかもしれないと危惧していた。2005年に図書館フレンズいまりの10周年記念行事をやることになり、片山善博さんを招くことにした。鳥取県で良い図書館政策をされていて、指定管理者制度も快く思っていないという情報も得ていたので。そこで片山さんはしっかり、指定管理者制度に図書館はなじまないと言ってくれて、それを市長も市の幹部も聞きに来ていて、そこで種がまけたかなと思っていました。

それでも市の公共施設については、指定管理にする、しないを全般的に検討する流れになり、図書館でどうするのかの議論は、多くの市ではそうですが図書館は教育委員会の管轄する教育施設ですので、定例教育委員会で議論してもらう必要があると提案しました。いじめの問題などで教育委員会がいらないという議論もありますが、教育委員会は首長とは別のスタンスできちっと議論して決めていくべきです。そこで出された結論を市長は尊重するように、ということを念押しして、図書館に指定管理はなじまない、ということを教育委員会の結論として諮問・答申という形ではありませんが、市長に伝えられました。

市長はもともと図書館をよく使う方で、指定管理にしようということは思っていなかったようです。それで、教育委員会の報告を受けて、図書館には導入しないという市長が公言しました。こちらの図書館を考える会のホームページにもアップされ引用されているのを偶然気づいて伝えたところ、市長も喜んでいました。まだご覧でない方は、伊万里市の市長雑感というところに、2回図書館への思いが書かれています。
http://www.city.imari.saga.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1238661778346&SiteID=0000000000000
http://www.city.imari.saga.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1357600565222&SiteID=0000000000000

図書館に導入しない理由は4点あります。
・教育施設であり、市の関与が不可欠であること。
・財政難で運営費が減らされているけれど、サービスは向上している。わざわざ指定管理にする必要もない。
・長期的なスパンでの蔵書厚生が必要ですが、指定管理では期間が決まっている。業者が変わらないこともあるが、変わることもある。職員のスキルの蓄積も必要。
・友の会(図書館フレンズいまり)やボランティアのいきいきとした活動がある。

伊万里では資料費は一時は3千万ありましたが、今は1800万円です。ただ、これが最低限だよという確認を市議会でもしています。これは血液が減るのと同じで、これ以上減ると利用が減るというデータもあります。

図書館フレンズの「稼ぐ」、カギカッコつきの稼ぐということについて。古本の販売をしています。寄贈本を寄贈者の了解のもと、フレンズにもらってハードカバーは100円、文庫は10円とかで、普段はフレンズコーナーで販売しています。イベントの時は古本市を出すとウン万円になることもあります。自動販売機の設置もして、電気代は払っていますが収益もあります。図書館グッズの販売もしています。それで、図書館を側面から支援しています。講演会をする時の講師のお金を負担しています。図書館と共催しているのですが。図書館に飾る花や、土、プランターなど、ボランティアでも資金は必要です。ボランティアは布の絵本やおはなし、合唱団もあり、私も合唱団のメンバーです。

ボランティアグループにフレンズ助成金を出して、年間数万円ですがそれで、いきいきしたボランティア活動を応援しています。

(3)図書館について考えてみましょう
関西でも武雄市図書館は報道もされていると思います。
http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do

武雄市は伊万里市に隣接していて、車で30分ぐらいの距離です。

これからお話しすることは私の私見で、図書館フレンズいまりの見解というわけではありません。武雄市図書館は伊万里よりも数年後にできました。県下では伊万里の次に好きな建物でしたが、今は大改造されて、なごりが無くなってしまいましたが。開館時間は朝9時から夜9時までで、365日開館しています。みなさんどう思いますか。嫌という人はいないでしょう。ウェルカムですよね。自分が行った時に開いていた方がいい。スターバックスが入っていて、コーヒーを飲みながら売り物の雑誌が読める。たくさんの人がいます。ビデオ、CD、DVDレンタルもあれば便利でしょう。

そういう便利な点はあるけれど、図書館は「民主主義(知)のとりで」と言われます。これは片山さんの講演のタイトルでも使っていました。図書館はネットワークで、都道府県立図書館や国立国会図書館など、そういったところから全く独立しているのならいいのかもしれませんが。私の尊敬する国立国会図書館の渡辺さんは、「図書館は現在の利用者だけでなく、未来の利用者に対する責任がある」と言っています。まだ生まれていない子、いずれ三田に引っ越す人。そういった人たちが調べものをするために、図書館は重要な施設です。基本的な図書、地域資料を集めて保存する。

今日、三田の図書館を見てここだけは写真に撮らなければと思って、iPadで写真を撮りました。それは川本幸民の資料をコピーして蔵書にしているコーナーで、三田市立図書館の優れたところです。伊万里のスタッフに紹介したいと思います。こういったところが、きちっとされるか、みなさん見つめていってください。

国立国会図書館や都道府県立図書館との連携もあります。図書館にない本をよそから借りることがありますが、そこがどうなるかもチェックしてください。

自治体の政策方向への感度について、議会で市長の答弁の翌日に就活のコーナーを設置するような。また、これは議会ではありませんが、ノーベル文学賞が発表された翌日には前面に展示をして、旬な話題を提供していく。今までのように利用者が来るのを待っているのではなく、(図書館から)情報を提供していくことが大事で、これもチェックポイントです。

職員のスキルの継続性ですが、指定管理では何年かごとに代わっていくので、スキルが継続していくのか心配です。

ある人が伊万里を訪ねて、レファレンスをしました。伊万里の職員は、そのものは伊万里の図書館には無いが、そのことについて調べられる本をたくさん用意して案内しました。三田でも同じでしょうが、そういうスキルを蓄積していける、待遇や職のあり方、優秀なスタッフを抱えていけるかということ。これは決して職員の保身のためではなく、市民のみなさんへのサービスがどうなるかということです。

三田でも団体貸出は盛んにやっています。伊万里では、それ以外に学校図書館スタッフの研修をしています。三田もしているのかもしれませんが。全校にスタッフを送り、正職ではないですが、長い時間いて研修しています。共同購入ということもしています。学校図書館で一人で資料を購入することが難しく、悪い例ではお金があるけれど、何を買えばいいのか分からず、全集を買ってしまって、子供はあまり全集のようなものは読まないことがあります。伊万里ではホールに2万冊の本の見本を置いて、学校図書館スタッフが来て、手に取って選ぶ場を設けています。学級貸出では自動車文庫が学校に行って、学級委員が本を集めてクラスで1か月置いておく本を選びます。コンテナに本を入れてクラスに置いています。子供には、学校図書館で借りる、自動車文庫で個人的に借りる、学級文庫というように、本のある環境を作っています。保育園、幼稚園では15分くらいの読み聞かせをしています。

自動車文庫は、病院にも行きますし、老人施設にも行きます。企業の昼休みにも行きます。

議会図書室がどうなのか、三田は分かりませんが、あまり新しい本がない。いろんなことを発言し、議論するために資料は不可欠です。公共図書館がしっかり担っていくものの一つです。

ボランティア、市民との関係もあります。伊万里ではブックスタートは3か月なので少し早くて、7〜8か月がベストなんですが、それでも絵本に反応するんです。市長は赤ちゃんはともかく、大人の表情が素敵、と言っていました。おはなし会や、朝読みボランティア。家読(うちどく)は家族で同じ本を読んで、感動を共有しようというものです。すべての場面に市民が関わっています。

全域平等で遠くても、また年齢を超えたサービス、障碍者サービス、これは三田でもしていますが、これから縮小していくことなく広がるのが望ましいです。それを見つめてほしい。

レファレンスサービスから起業をする人もいます。最近は分からないことがあるとインターネットで調べる人が多いですが、ぜひ図書館で聞いてみてください。館内の資料、よその図書館に聞く、時には国土交通省にまで聞く、そういったことが図書館の大きな役割の一つです。ぜひ使ってください。貸出だけではもったいないです。レファレンスサービスから起業をした人について、何年か前の洞爺湖サミットでのおみやげ品が焼き物の万年筆でした。香蘭社のホームページで見ることができます。
http://www.sailor.co.jp/lineup/fountainpen/10-1581-400
http://www.koransha.co.jp/

首脳へのプレゼントでした。焼くと収縮するので、繊細なものを作るのが難しいんですが、隣の有田市から伊万里図書館でレファレンスで情報を得て作ったものです。焼き物の万華鏡もあります。小型の風力発電を作った人もいて、特許の取り方まで調べました。三田の図書館でもいるはずです。趣味の読書を超えて、次のスタートができる。それが今後どうなるのかもチェックポイントです。

(4)図書館を育てる 〜あなたが利用者として出来ることを〜
メッセージです。ぜひ、みなさんが利用者として出来ることをしてください。まず本や資料を借りること。伊万里の図書館でもボランティアの出入りが多いのですが、図書館に来たら本を借りようと声をかけています。私は数で測るのは好きではないですが、注目されているということであります。誰でもできることです。あまり来ていない人にも図書館を使う手だてを提案してください。

レファレンスをする。分からないことを図書館に聞いてみましょう。伊万里には大人用、子供用のレファレンスコーナーがあります。びっくりした例で、長崎に住んでいる高齢の女性が、「自分が女学校時代に習った讃美歌の原語が知りたい」という質問があり、最後には外国の図書館に問い合わせをして分かって、とても喜ばれたということがあります。いろんなシステムを使って調べます。遠慮なく聞くことで、それがスタッフを育てることにもなります。

図書館を使い倒してください。新聞を読み比べすることができます。普通の家庭は1紙しかとっていませんが、気になることがあった時に、図書館で読み比べをしてください。記者の切り口やコメントが違い、新たな気付きになります。図書館利用の極意の一つです。

図書館への気づきを語ること。図書館で良いことがあったという前向きな、建設的なことを話してください。時には困ったことがあれば図書館のスタッフに伝える。これから三田の図書館がどうなっていくか、それを見つめる一人になってほしい。

最後に菅原峻さんを紹介します。図書館計画施設研究所で、伊万里の図書館の基本設計もしました。菅原さんは「図書館を作る」という言い方ではなく、「図書館をはじめる」と言います。建物ができてからが本番です。菅原さんによると、全国3,000の図書館のうち半分は図書館という看板を掲げた役所だと、楽しくないということです。残りの半分の90%は図書館の看板を掲げた貸本屋、本を貸すだけで何の魅力もない。残りの30館が本物の図書館だということです。

菅原さんは数年前に亡くなっていて、今の三田の図書館を見てどう言うかは分かりませんが、きっと30の中に三田の図書館は入っているはずです。いろんなサービスをしています。わざわざ私から言われてから気づくくらいに、当たり前になっている。ほめたり、提案したり、市民が関わることが無いと危ういです。みなさんが図書館と友だちになることが、三田の図書館の行く末を決めます。

ランガナタンという人、インドの学者ですが、「図書館は成長する有機体だ」ということを言っています。この講演のタイトルにある「育てる」という言葉に、みなさん違和感を感じませんでしたか。市民が図書館を育てるということ。いろんな公共施設がありますが、1人の人が思いのままにゆっくり無料で過ごすことができる施設が他にあるでしょうか。ホールや公民館は1人では利用できませんよね。有料です。図書館は誰にとっても友だちなんです。それが、はっと気づいたら、「え、なんで」となりかねない状況です。

私は指定管理を全て否定はしません。サービスが良くなるところ(施設)もあるが、すべてではない。図書館には未来永劫、当てはまらないと思います。

質疑応答

Q1: 図書館の障がい者の対面朗読ボランティアをやっています。(伊万里を)うらやましく思った。立ち上げ時から行政と市民が協力して幸せです。今日は成功体験を聞いた。三田市はどうか。私は三田市の図書館は評価しているが、まだまだのところもある。利用者としてはどんなことができるのか。三田は指定管理が避けられないくらい追い込まれている。図書館に指定管理者制度はなじまないが、そうされてしまっても、その4つのやり方でいいのか。図書館は良くなるのか。されてしまった後の対応についてお聞きしたい。

A1: そうですね。まずひとつ、12月議会で決定で流れていくでしょう。一つの成功体験を話しました。自分はこのような状況には直面していませんでした。みなさんが関心を持って、これまでと、4月からの違いを認識してください。悪くなったら、それは違うということを発信していくということから、動いていくのではないか。指定管理の評価が問われる。感情でなく、冷静に見つめて整理していくことが必要で、私だったらそうするでしょう。

Q2: 図書館が民営化になる。民営化はいい、国鉄がJRになったような、簡単な考えで民営化するのではないか。図書館はあまり利用しないが、単純な考えでは危険。働いている人は大変。儲けるために民営化する。組合も活動している。もっと、三田市、市会にまかせるのでなく、1年前からこういう会をやって、盛り上げていたら三田も…。これからは元に戻す。民間ではなく市に戻すような活動をしたら。

A2: 数は少ないが、指定管理から直営に戻したところもある。理由は色々ある。それまでのサービスが良くなかったところは(指定管理の方が)上ということもある。三田の図書館はいいサービスを空気のような感じで利用されている。それを今後、どう見つめていけるか。働いている職員メインではなく、市民の利用、みなさんのサービスがどうなっていくのか。それで、図書館を見つめていってほしい。

Q3: 図書館ができてから10年くらい、月に1回、読書会をしてきました。今は停止していますが。図書館にはしょっちゅう行って、不満はなかった。私自身は図書館を利用していた。ずいぶん早く話が進んで、電話で聞いてびっくりした。何ができるのかと思った。近所の友達からも、この話は出てこない。市が一般の人に良く分かるようになぜ説明しなかったのか。一般の方から話が出ないことにショックを受けていました。友人に驚き、話題にならないことを話したが、神戸市は一部民営化されていて、普通そうじゃない、と言われた。ものすごい問題として見られていない。三田市民にあまり関心が無くてもそんなもんじゃないか、図書館というのはそんなんでしょ、と。一般の方たちに関心を持ってもらうのに何がいいのか。市民の間で問題になっていない。盛り上がる方法はないのでしょうか。

A3: 全国すべてについて知らないが、市民が知らないうちに決まってしまうところがむしろ多い。図書館が廃止されるというと衝撃が大きいかもしれないが、どこがやるのかが代わるだけ、関心がないのも三田だけではない。図書館の友達になってほしい。日ごろから、関心度MAXでなくても、図書館サービスを受けている人が関心を持つこと。今後のサービスは、12月議会で決まって、4月からサービスが変わるかもしれない。みんなでウォッチングしていく。強硬な手段に訴えようということを止めないが、この間も署名を集めておられたので、難しいかもしれない。

Q4: 組合をやっています。この間の経過ですが、図書館の話も2〜3年前からやっていて、市からは直営でやっていくという約束もあった。(それなのに)市長からは全館指定管理と言われた。開館時間を延ばす、開館日を増やす、これが一番大事と言われ続けている。伊万里の隣の武雄市がツタヤ、スタバで365日開けていて、こういうのを目指すと言われる、空気のようなまねのできないサービスを三田でもやっている。延長せずに今のサービスを守ることもあるが、直営でも開館日、開館時間延長を、今あるサービスの提供を、少しでも削りながらでも直営でできると言っているが、市に受け入れてもらえていない。伊万里の状況をお聞きしたい。

A4: 武雄が長くなったので、市民の要望はある。図書館のスタッフとの協議も大事。平日は10時から18時まで。金曜日は10時から20時まで開館。休館日は月曜日と第4木曜日。これまで、休館日、閉館時間を減らし、開館時間を少し増やしてきた。延長の増加は絶対にできない状況ではない。図書館スタッフとも話をしている。内容が雑になるのはどうかという思いもある。テーマ展示、例えばノーベル賞の受賞者に関する展示など、ご紹介してきた書架の間のイスの裏に本が平置きにできる。テーマ展示が60か所あり、月に1回入れ替えをすると、そのためには第4木曜日の館内整理日は絶対必要です。図書館の質をどこまでで良しとするのか。スタッフで議論し、フレンズでも議論していますが、伊万里は教育委員がしっかり議論していたことが、今につながっています。市民から図書館が注目されていることを、教育の関係の人に認識してもらう。市民の望むことに、どこまでいけるのか。早急にするのではなく、良くなるのならいいが、議論が大事。導入後に撤退することもあるので、その時のために力を蓄えることは無駄ではない。

Q5: (Q1の人の再質問)
365日開館は市民にとってウェルカムと言われたが、ウェルカムではない。開館時間を延ばして同じスタッフでやろうとすると、どこかを削らないといけない。この前、明らかになった指定管理の計画では、開館時間が倍増しているのに、今のスタッフよりも人数を減らす。本来の日常業務のどこかにしわよせが来ることを心配している。市民の会の代表世話人として、来年4月であきらめているわけではない。やれることをやる。TRC第一候補の提案書の疑問点について、全市議に文書を渡して確認をお願いしている。大勢は賛成派が多いが、決してあきらめていない。過激なことをするつもりもない。組合としてもこれぐらいのことができるという、市への提案を一般市民にも公開してほしい。この程度の代案、として検討のテーブルにのせてほしい。

A5: ウェルカムなのは私ではないが、一般の方から何が悪いの、と聞かれることが多い。せっかく提案されたのなら、みなさんにオープンにすることに賛成します。ホームページも見ましたが、とても的を得ています。利用していれば、図書館の友達として変なことにならないように、というのが結論です。メインは議会だが、市民の会、組合があるとなしでは、導入してもその後の方向も変わる。伊万里さえよければいいとは思っていないので、一緒に頑張っていければ。

Q6: Q5の人の戦友です。図書館の友達、ウォッチング。効果的な方法、具体的な方法があれば教えてほしい。

A6: ものによってやり方を間違うと圧力になるので、どうかと思う。日常やっていることを続けることが図書館への応援になる。本を借りる、借りていない人には図書館へ行こうと誘う。伊万里は広いので、遠くの人がなかなか来れないが、ここはどうでしょうか。多くの人が利用している姿、市民が注目していること、利用されていないよりされている施設。図書館に来れば他の新聞も読めるし、プラスアルファのサービスもある。図書館の施設を使って、いろんな活動をしてみる。私が三田市民だったら、図書館に関する書物を使った勉強会をする。関心を持つ人を増やしていくことが、長い時間がかかりそうだけど、着実に歩む。図書館は、建物、資料、スタッフがないと、機能を失う。建物はある。資料はある。先日の常世田さんの講演会を私も聞きましたが、選書は良い本を選ぶのではなく、限られた書棚に森羅万象を、長いスパンで作っていくということ。
http://lovesandalibrary.web.fc2.com/kiji/kouen20131020.html

指定管理は短い期間で代わる。住んでいる人が見ていき、人を育てる、図書館を育てる。みなさんが関わること。圧力にならないように。三田市の平成24年度年報、活動報告の実績で、一人当たりサービス効果というのがあり、貸出冊数×本の単価−図書館費を人口で割る。10,584円となっている。税金を払って、1万なにがしか戻っている。4人家族だと4万円以上戻っている。伊万里は少し計算式が違うが、三田市も同じ計算だと同じくらいになると思いますが、18,804円戻っている。図書館を利用しないと損するよ、と呼びかけて。子供が絵本に親しみ、自分で選ぶ。ITの時代になっても、活字への親しみは大事。「本を読んで甲子園へいこう!」という本があります。
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032292896&Action_id=121&Sza_id=F2

高校生に読み聞かせをして、県大会準優勝ができた。読み聞かせをして、監督の話が聞きやすくなったり、場面場面が頭に入ったりする。体育会系でも理系でも、語学の力は必要。日本語の文章を読まないといけない。図書館を使う人たちを増やしていく。それが、図書館を守り育てる特効薬です。これからも三田と関わりを持っていきたい。みなさんも伊万里に来たらぜひ図書館に来てください。

閉会

市立図書館を守る会の世話役代表人です。今日、講演にたくさん来ていただいてありがとうございました。伊万里では建設前から運営に関わっていて、指定管理に対しても危機感を持って、先手を打たれたこと、息の長い取り組みに敬意を表します。私たちが今まで何もできてなかったと感じました。三田で指定管理導入について、本来やることでいいこととか、良くないことがないのか、議論でみんなに分かるようになるべき。指定管理になったらいいのか悪いのか、判断できない。個人的にはなじまないと思うが。本当にどうか、市の議会の中で.議論されているとは思えない。市議会議員の方も来てくれている。今から、議会の中でもしっかりもんで、きっちり議論してほしい。組合しっかりしろよという声、図書館に関わりのある人からの声、市民の会の声、今おかしいんちゃうかという声を聞いて、心強く思いました。限られた時間の中で、できることをやっていきたい。今日の話を持ち帰って広めていただく。市議会議員の知り合いの方がいたら伝えていただく。広めていきたい。それぞれの立場で、よろしくお願いしたい。

★図書館を市民が育てるということにとても共感しました。このホームページのタイトルも「三田市立図書館を育てる(^_^)ホームページ」に変更しようと思います


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